メイン

映画 アーカイブ

2001年09月27日

狐の呉れた赤ん坊

いくどかリメイクされた作品です。田村4兄弟のお父さん、阪東妻三郎の主演。いい演技なんです。

子役はなんと、いま朝丘雪路のダンナ、津川雅彦。このかわいい坊やの演技がまた泣かせます。

わたしがこれを観たのは、やっぱりNHKの世界名画劇場だったと思います。なんど観ても、泣けます。

題名からは、なんだか昔話のような感じがしますが、当時(江戸時代という封建制社会)の庶民の生活感や身分差がもたらす悲劇、武士の傲慢さと町人の情けなど、なかなか説得力ある、丁寧に人間が描かれた、人間ドラマです。

フェデリコ・フェリーニ監督作品。ジェルソミーナのテーマは映画音楽のなかでもけっこう知られている名曲。

道
販売元 : Amazon.co.jp DVD
価格 :
[タイトル] 道
[出演] ジュリエッタ・マシーナ
[レーベル] アイ・ヴィー・シー
[監督] フェデリコ・フェリーニ
[種類] DVD

■商..
>>Seesaa ショッピングで買う

主演している女優ジュリエッタ・マシーナは監督の奥さんで、たいへん印象的に演じている。粗暴な男、ザンパノを演じるのは、これまた世界的俳優であるアンソニー・クイン。

この映画をはじめて観たのは高校生のときだったか、NHKの世界名画劇場という番組でだったと思う。それから、10回は観ただろうか。観るたびに新しい発見があり、感動がまったく薄れない。いい映画や感動した映画はいっぱいあったけれど、何度観てもあきない映画というのはそう多くはお目にかかれないよね。

わたしにとってのベスト作品の一つです。観たことのある人は多いと思いますが、観たことのない人は、一度は観る価値のある作品と、つよくお勧めいたします。

2002年12月07日

ベイブ

ビデオを購入してしまいました。もう2年くらい前ですけど。

豚が牧羊犬をめざすという、とんでもない設定の話なのですが、話のはじまりから、一気にひきこまれてしまいます。

主人公の子豚が、食用豚としての一生を受け入れず、自分自身で運命を切り開いてゆく。その心意気に感じ入ってしまうわけです。

かといって、この子豚、かっこよくもないし、臆病だし、優柔不断なところがあるのですが、なによりやさしいのです。

素朴な農家のおじさんに運良く買ってもらえて、クリスマスのディナーになりかけたところを運良く切り抜けて、さまざまな試練をへて、また、農場のなかまや羊たちの協力をえて、立派な牧羊犬、もとい、牧羊豚になるのです。

ラストのコンテストのシーンは最高。さいごに、おじさんと子豚が見つめあうシーンは、なんど観ても泣いてしまいます。

2002年12月24日

指輪物語 - 旅の仲間

まずことわっておくと、私が観たのは、“旅のなかま”編、つまり第一作の方です。

CSで放映していたのと、休日だったのでゆっくり観られました。2回続けて観ました。ひさしぶりに数回見てもなんども感動し、泣ける映画に出会えました。

実は、ホビット族という小人族の主人公を演じている俳優さん、どこかで見た記憶があったので気になっていたのです。たしか、子役で以前たびたび映画に出演していたような記憶があるのですが。しかし、今回映画を観て、あれ? この人、こんなに小柄だったっけ?

なんと、特撮だったんですね。WEBサイトのコンテンツで知りました。たぶんそうだろうなとは思ったんだけど、あまりにも自然に写っていたので。

原作をぜひとも読みたくなってしまいました。20世紀のファンタジー長編小説だとはいえ、もうずいぶん以前に書かれたものだったのじゃないかしら。欧米ではよく知られているファンタジーらしいし、幾度か本屋で見たことがある名前ではあったのですが、話の内容を知ったのは、今回、映画を見終わってはじめてだったのです。

地下に住み斧が達者な一族ドワーフとか、弓術が達者なエルフ族、妖術をあやつる種族に、権威欲のもっとも強い人族、などという設定や、「中つ国」などの独特の世界観など、いまでは、ファンタジーにはつきもののさまざまな世界観設定も、この物語が書かれた当時はかなり新鮮だったようです。とくに出てくる種族たちは、RPGの名作ウィザードリーの基本キャラクターとまったく同じじゃないでしょうか。

いや、こんなことよりなにより、私が感動したのは、たとえば、世界を支配できる力をもつ指輪を相続するはめになった“小さきもの”ホビット族の青年と彼を導いてくれる賢者との会話でした。人生における試練とそれに向き合う勇気について、人を裁く行為、人を許すということについて。

また、この編で描かれる「旅のなかま」たち、それぞれの個性と人生。途中、たたかいのなかで死んでしまうんだけど、とっても人間的に魅力的な人族の剣士。指輪の誘惑に一度は負けて、それを深く悔いながら死んでゆくんですねえ。泣けました。

そして、もう一つ印象的なのは、指輪をめぐる種族をこえた力への欲求。なぜ、主人公のホビット族の青年だけが、その欲求から無縁だったのか、このことは物語の進行につれて明らかになってゆくのでしょうか。

それにしても、指輪をのこしてくれた養父も、エルフの族長の一人でさえも、指輪の力の魅力にのみこまれそうになってしまう。のぞかせる醜い姿。数々の権威欲に魅入られた人びとの素顔を主人公の青年は見せつけられてゆくのです。せつないですね。

次回作は「二つの塔」という副題がついてるみたいですが、とても観たくなりました。WEBサイトで予習するか、原作を読んでから、鑑賞したいですが。

2003年03月11日

アンドリューNDR114

レンタルDVDで視聴したのは知人から紹介されたアメリカのSFドラマ映画「アンドリューNDR114」。

原題は“Bicentennial Man”。なんと訳すべきか。内容からしても、直訳どおり“200年目の人間”か。以前、スピルバーグが手がけた「A.I」をスカパーのペイ・パー・ヴューで観て期待はずれだったことを知人に話したら、この映画を紹介してくれたのだ。よかった。「A.I」より、よっぽど深みのあるストーリーだったし、テーマもしっかりしていたし。
邦題の「アンドリュー」というのは、「彼」が購入された先のマーチン家の娘が、「アンドロイド」という父の説明に、それが名前だと勘違いして、舌足らずの口で思わずつぶやいた言葉。それがそれ以後200年間「彼」の名前となる――Andrew Martinと。このアンドロイドを演じるのは、芸達者のRobin Williams。
“A.I”でも、やはりアンドロイドという機械が愛情をもてるのかということがテーマとなっていたが、モチーフのベースは「ピノキオ」。そしてこの場合の愛情というのは、ひたすら恋い慕う、母親にたいする愛情。一方、“Bicentennial Man”でも、彼が人間と恋をし、結婚することがストーリーの柱なのだが、むしろテーマはアイデンティティ、あるいは人間性とは何か、ということではなかったか。なぜ原題が「200年目の人間」という題名かは、この映画のラストに判明する。

2003年03月18日

蝶の舌

ヘミングウェイの小説『誰がために鐘はなる』で知られているスペイン内戦勃発時、スペインはガリシア地方のある村にすむ少年の物語。原作をぜひ読みたくなった。

少年の目線から、フランコのクーデターによる独裁にむかう緊迫した空気や、生きてゆくことの哀歓が描かれている。
この映画については、評論で、ラストに少年がさけぶ言葉が衝撃的だとある。私にとっては、むしろ、ラストの言葉よりも、その直前に少年が母親にうながされてさけんだ言葉と、その一連のシーンの方が衝撃的だった。さけぶ少年とそれをなんとも悲痛な表情で見つめる老教師。この2人をうつしだすラスト近くの一連のシーンは、胸をしめつける。
妻に早くに先立たれ、若くして寡となったこの男は、言葉によっても直接の暴力によっても、子どもたちにたいして体罰をあたえることをけっしてしない。未来のスペインの担い手として、子どもたちに学び伝えることのみに人生をかけてきた。この老教師は物語の最後、退職し、第一線からは退いている。この老い先短い男を、共和主義者というだけの理由で収容してゆくもの。その男たちに「裏切り者! アカ! 不信心者!」と村人に叫ばせたもの。そして、愛情をそそぎ、明日の自由スペインの建設者として期待してきた子どもたちに、石を投げつけさせたもの。それが衝撃的に浮かび上がってくるのだ。
評論に紹介されているラストの少年の叫びは、当時の状況下では口にすることが困難だった言葉であり、フランコの独裁体制が確立されるなかで押しつぶされていったあらゆる表現の象徴である。だからこそ、映画の中で(あるいは原作となった小説のなかで?)少年をかりてスペインの良心が叫ばせたのだと思う。
ヘミングウェイの上記の小説を読んだことがなく、スペイン内戦も、写真家キャパの名やフランコ将軍という固有名詞から、おぼろげにしか知識のなかった私には、当時の世情をおおまかにでも知ることができた、歴史教養映画としてもありがたい映画だった。

2003年11月03日

ブラス!

私のふるさとも炭鉱の町だった。
私が小学1年生ころには、国のエネルギー政策の大転換にともない、町のあちらこちらにあった明治以来の「ヤマ」がつぎつぎに閉められていた。
当時1972年には町で最後に残っていた炭鉱が閉山した。
最も多いときには1万数千人いた町民は、閉山時にはそれでも5800人ほどだったが、翌年の1973年時には4000人足らずになっていたそうだ。

この映画のなかで、ブラスバンドのリーダーの息子――彼は借金のため、退職金のために組合を「裏切り」、それでも借金取りからは逃れられず、妻からもいったんは見捨てられ、自殺まではかったのだが――彼が、「アルバイト」のピエロを演じている最中、たまらず「神さまがなにをしてくれた!」とさけぶシーンがある。
当時のサッチャー首相(私たちの世代では「鉄の女」の呼称で知られていた)の政策批判を口にする。

私は、石炭というのは、石油とくらべてエネルギーとしては過去のものだとばかり思っていたが、この前再放送された「大地の子」のなかで、製鉄所の原材料としてなくてはらならいものとして石炭(コークス)が大量に必要であることを知った。
では、なぜ、良質の石炭を産出していた、わがふるさとをふくむ、国内の多くの石炭産出地域を壊滅においやったのだったろう。

いまや石炭は、鉄鋼生産になくてはならないもので、そのほとんどを輸入にたよっているという。

この映画の舞台を観ていて、そんな遠いふるさとの地を思い出し、涙があふれて止まなかった。
多くの、人生を狂わされた人びとの哀歓と叫びが、切々と胸にせまる。

2003年11月09日

禁じられた遊び

ほんとうに久しぶりに観た映画だ。あまりに有名すぎて、これまで2回しか観たことがなかったけれど、今回CS放映で改めて感動を新たにした。

ちょうど放映されていたのは、第43回衆議院選挙の開票が行れている時間帯。なかなか意味深なプログラムになっていると思うのは、わたしだけでしょうか。
さいごに「ミッシェル!」と叫びながら雑踏の中に見えなくなってしまうポレットが、その後どうなっていったのかは、たぶん、当時この映画を観た人びとには実感として分かったのでしょうか。1950年代のアカデミー外国語映画賞を受賞しているようです。
この映画を製作したのはもちろんおとなです。この映画の脚本や、この映画のなかで対立する家族、無知蒙昧と貧困のなかで長男をむざむざ死なせてしまう家族を演じているのも、おとなの役者さんたち。たぶん、戦争経験者だったろう彼らの演じる群像が、切々と胸にせまってくるのは、私自身が年齢を重ねたためなのでしょうか。それとも、いまの状況がそう思わせるのでしょうか。
「子どもの視点」を、こうも見ている側に自然に感じさせるルネ・クレマン監督とキャメラマンの手腕に喝采を送らねば。
しかし、当時の社会が、これほど宗教というものを「冒涜」した映画を許容したということも、特筆すべきことだと、私は改めて、つくづく感じる。いまアメリカ合衆国全体に、「キリスト教原理主義」ともいうべき、戦慄すべき政治状況が蔓延していて、それに、わが国日本が政府・与党をはじめ、財界にお膳立てされた政治勢力、メディア全体がまきこまれているからです。
その意味で、この映画は、戦争というもの、宗教というもの、それらについて、正面から堂々と、それでいて、淡々と叙情的に(つまりは映像美として)描ききった、ながく名作として飽きることなく、感動を与え続けられる作品の一つでしょう。

2003年12月01日

PeterPanが実写の映画に

とうとうDeskTopの画像とScreenSaverに設定してしまった。かの「ピーターパン」がとうとう実写版の映画として公開されるとのこと。

いつも楽しませてもらっているApple.comのMovieTrailerのコンテンツで、すでに2パターンのTrailerが掲載されていて堪能している。ついでに公式HPにおじゃまして、DeskTop画像とScreenSaverをダウンロード。マイPCのデスクトップを「私仕様」にしちゃいました。

本編も観てないのに・・・。でも、これまでアニメーションでしか実現しなかったかの「Peter Pan」が、(Trailerを観る限り)見事に映画化されていて、楽しみ。公開はクリスマスに合わせてとのこと(あくまで「あちら」ではね)。

ピーター・パン コレクターズ・エディションピーター・パン コレクターズ・エディション
販売元 : Amazon.co.jp DVD
価格 :
[タイトル] ピーター・パン コレクターズ・エディション
[出演] ジェレミー・サンプター
[レーベル] ソニー・ピクチャーズエンタ..
>>Seesaa ショッピングで買う

ついでに気がついたんだけど、2パターン目のMovie Trailerのはじめの方のBGMだけど、PCゲームで反響を呼んだ「MIST」シリーズ最新作の「EXILE」のBGMとそっくりなんだけど・・・。同じもの? それとも作曲者が同じ人?

2003年12月25日

指輪物語 - 二つの塔

CSで視聴した第2部。「指輪の王(指輪物語) - 二つの塔」

ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔 スペシャル・エクステンデッド・エディションロード・オブ・ザ・リング 二つの塔 スペシャル・エクステンデッド・エディション
販売元 : Amazon.co.jp DVD
価格 :
[タイトル] ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔 スペシャル・エクステンデッド・エディション
[出演] イライジャ・ウッド
[レー..
>>Seesaa ショッピングで買う

実は、「王の帰還」までの全三部を読み終えてから、視聴したので、かなりわかりやすかった反面、ずいぶん、映画版(それもディレクター・カット版ではなく公開版)では、原作で細かく描かれていた部分が省略され、ドラマティックな部分は原作よりも豊かに描かれていたのが印象的でした。

原作にくらべて映画化にあたって、監督(あるいは脚本家?)のイマジネイションを豊かに反映したのは、アラゴルンと「裂け谷」に住むエルフ族の族長エルロンド(人族とエルフ族との間に生まれた子)の娘「夕月(ゆうづつ)の姫」アルウェンとの悲恋(実はハピーエンドなんだけど)の描写。それと、フロドを一度は裏切り、悔恨のはてに悲運の死をとげる人族、剣士ボロミアの弟ファラミアの描き方の相当な違い。

原作では、映画のようなロマン的な描き方よりは、むしろ、冥王の指輪をその運命に託されてしまったフロド・バギンズとその忠実なる僕(しもべ)サムとの苦悩にみちた道行きがより詳細に描かれていて、人生とは何か、英雄とはどのような人を呼ぶのかを、つくづく考えさせられたものでした。

映画では、原作でも、血沸き肉躍る合戦(ローハンと元「白の賢者」サルマンの軍勢との大合戦)の様が、映像として間近に迫って、想像力豊かに描かれていて、凄まじかった。でも、やっぱり、あの沼地での、フロドとサムの道行きの「凄まじさ」は、合戦の勇猛果敢な様とは程遠いけれども、人生の豊さ、味気なさ、苦しみ、尊さを十分に描いている場面だと感じていたから、もっと映画のなかでも、その味わいを味合わせてもらいたかったと思ってしまった。

渓谷での大合戦で、ロスロリアンから派遣された最強のエルフ弓兵部隊の長として登場するハルディアは、原作ではもっと詳細にその人格が描写されています。所詮、映画では描ききれない部分があり、映画という「視覚的描写」だから描ききれる部分があるのだなと思った次第。あのサルマンの塔を攻略する、エント族の活躍場面は、原作では、二人のホビット――メリー(メリアドク)とピピン(ペレグリン)の語りで語られる場面ですが、映画では、圧倒される描写で描かれていて(ちょっと物足りないところもあったけど)、河の大水が、サルマンの坑道を水浸しにしてしまうシーンなどは、監督(なのか脚本家)のイマジネイションの豊かさを感じさせました。

原作のエッセンスをきちんと視聴者に伝えてくれている、この第二部。第三部の「王の帰還」が、どのように映画化されるのか、とても楽しみです。

2004年01月09日

巴里のアメリカ人

ゆうべCSで観た、ミュージカル映画「巴里のアメリカ人」。

ストーリーはとてもわかりやすいのに、登場人物の交流の複雑なこと。心理描写はわかりやすいのに、当の本人たちの行動の矛盾に満ちていること。

そして歌とダンスのすばらしさ。私のお気に入りの曲のなかのジャズナンバーが、次々に登場してくる。
「アイ・ゴット・リズム(I Got Rythm)」「わが愛はここに(Love is Here to Stay)」。
「えっ?!」とあわててびっくりして、ジーン・ケリーの歌声に耳を傾け、彼のダンスに魅了された。とくに「Love is Here To Stay」。こんなに矛盾に満ちていて、叙情的な場面で歌われている歌だとは、ましてや、ミュージカルナンバーだとは、知らなかった。

もっとも刺戟をうけたのは、「ミュージカルは単純明快」という先入観を払拭してくれたこと。もっともわかりやすい人的配置、歌あり踊りありのエンターテイメントでありながら、そこで描かれる人間関係のリアルで複雑なことといったら・・・。

監督:ヴィンセント・ミネリ。出演:ジーン・ケリー、レスリー・キャロン、オスカー・レヴァントら。

2004年01月15日

バグダッド・カフェ

この映画のテーマ曲「コーリング・ユー(Calling You)」は以前からなんどか聞いたことがあったけれど、映画そのものを観たのはこの数カ月ほど。

バグダッド・カフェ 完全版バグダッド・カフェ 完全版
販売元 : Amazon.co.jp DVD
価格 :
[タイトル] バグダッド・カフェ 完全版
[出演] マリアンネ・ゼーゲブレヒト
[レーベル] 紀伊國屋書店
[監督] パーシー・アドロン..
>>Seesaa ショッピングで買う

CSチャンネルで毎度お世話になっている「Cinefil Imagica」で放映されているものを、時々途中から観ていた。きのう初めて始めから視聴。

はじめのはじめを観ずに、ジャスミンがクラッカーを手品で出してみせるシーンの直前から観ていたので、彼女が実ははじめから手品を習得していたわけではないことを、今回はじめて知った。そこが重要なのだった。
彼女が手品を習得するために役立ったグッズは、旅行途中に夫とけんか別れして、勢いにまかせて車のトランクから引きずり出し、エッチラオッチラ、かの「Baghdad Cafe」まで、歩いて引きずってきたバッグのなかに入っていたのだが、それが夫の荷物だったわけだ。
男物の服ばかりで、砂漠のど真ん中にある薄汚れた宿で、着替えもなしでいなければならない惨めな状態。それが「Baghdad Cafe」の経営者の一人(夫は妻である彼女の癇癪にたまらず家を飛び出した直後)ブレンダの不信をかってしまうのだが。

ジャスミンの夫が気を利かせてか、別れた場所においていった魔法瓶は、偶然にもブレンダの夫が拾って、「Baghdad Cafe」に持ち込むことになる。
ここらへんが「現代のメルヘン」と評される映画の導入部らしいといえば、らしい。
そのポットに貼ってあるシールには「Rosenheim(ローゼンハイム)」という名が大きく書いてある。当時はまだ東西ドイツは統一されていなかった。西ドイツはミュンヘン(München)近郊の町の名。

この映画に登場するのは、アフリカ系アメリカ人やネイティブ・アメリカンやら、いわゆる「少数派」なわけ。主人公はドイツ人だけれど、ドイツ系アメリカ人も、ヨーロッパから北アメリカ大陸に入植してきた人種のなかでは、後の方で、法的にも社会的にもアジア系移民と同様、政府から差別的扱いを受けていたらしい。
「マイノリティ」で、なおかつ何かしら寂しさをかかえている人たちが、ちょっとしたきっかけで、たまたま同じ場所に集まってくる。
はじめは寂しさを埋め合わせしようとするジャスミンのはたらきかけを誤解し受け入れなかったブレンダも、ふとしたきっかけで寂しさを共有していることに気がつく。

そこに、店の従業員、ハリウッドから流れてきた男、たまたま独り旅でテントを張る場所をさがしていた青年たちを加えて、「Baghdad Cafe」に宿泊するメンバーが徐々に一つの家族に交流を深めてゆく。その温かさが、日ごろのギクシャクとした人間関係に緊張しまくっている体と心をリラックスさせてくれる。

ほとんどハピーエンドの大団円。でも、たぶんローゼンハイムで離婚してきただろうジャスミン。彼女の夫はかわいそうだね。

なぞなのは、その彼が店のカウンターで鼻から吸い込んでいた黒い粉。あれはいったいなんだったんだろう? もしかして、インスタント・コーヒー? それともタバコの一種かしらん。

1987年、西ドイツ製作。監督:パーシー・アドロン、出演:マリアンネ・ゼーゲブレヒト、ジャック・バランス、CCH・パウンダーら。

2004年01月26日

バグダッド・カフェ(2)

アメリカ移民の歴史を少し調べてみたら、ドイツ系移民が差別的扱いを受けていたというのは誤解だったみたい。
むしろ、技術や知識をもつ労働力として期待されていたとのこと。移民の大半が遅めだったことは確からしいけど。
そうすると、ジャスミンが象徴していたのは何だったのかしら。むしろ典型的ゲルマン民族の代表なのかしらん。「マイノリティ」が多数派を占める「バグダッド・カフェ」のなかの「多数派」だから、逆説的に言えば、そこでは「少数派」と言えなくはないけど。単に「旅に疲れた外国人」でも話は通じるけどね。

2004年01月31日

バグダッド・カフェ(3)

今晩もシネフィル・イマジカはバグダッド・カフェを上映。何度見てもいいなあ。

コーリング・ユー ~バグダッド・カフェ ― オリジナル・サウンドトラックコーリング・ユー ~バグダッド・カフェ ― オリジナル・サウンドトラック
販売元 : Amazon.co.jp 音楽
価格 :
[タイトル] コーリング・ユー ~バグダッド・カフェ ― オリジナル・サウンドトラック
[アーティスト] サントラジェヴェッタ・ス..
>>Seesaa ショッピングで買う

ラストにとても楽しいショーがあるけど、そこで歌われている歌がとてもいい。そのなかで、「このカフェはモハーベ砂漠のオアシスだ」と歌われていたので、世界地図をおもむろに取り出した。モハーベ砂漠とはどこだ。あったあった、ロサンゼルスとラスベガスとの間にある、シエラネバダ山脈の南に広がる砂漠のことだ。近くにモハーベ(Mojave)という名の町がある。

2004年02月10日

ホビット荘(Shire)の牧歌的美しさ

「指輪の王(The Lord of the Rings)」の全巻を読み終えて、映画版の「二つの塔」を観終え、ふたたび映画版「旅のなかま」を視聴。物語の顛末をすべて知ったうえで、ホビット荘(Shire)の描写を観るとなぜか涙ぐんでしまう。

ロード・オブ・ザ・リング ― スペシャル・エクステンデッド・エディションロード・オブ・ザ・リング ― スペシャル・エクステンデッド・エディション
販売元 : Amazon.co.jp DVD
価格 :
[タイトル] ロード・オブ・ザ・リング ― スペシャル・エクステンデッド・エディション
[出演]
[レーベル] ポニーキャニオン
[..
>>Seesaa ショッピングで買う

この物語のあまりにも苦悩に満ちた展開を思うと、その田園風景の美しさが胸に迫ってくる。
いま、「指輪の王」以前にトールキン(J.R.R.Tolkien)が執筆した「ホビット ゆきてかえりし物語」(The Hobbit or There and Back Again)を読んでいる最中。「指輪物語」の発端となる、フロド・バギンズの養父、ビルボとゴラム(スメアゴル)との出会いの場面にちょうど差し掛かったところだ。
フロドとて“指輪の王”―“冥王の指輪”の誘惑には抗うことができなかったこと、運命の偶然から、それでも首尾よく使命を果たすことができたこと、この顛末を全巻を通して読み終えることで知ることができたが、そのそもそもの発端を知りたくて、「ホビット ゆきてかえりし物語」を読みすすめている。

2004年02月23日

恋の手ほどき

原題の“Gigi”より、邦題の方が内容を表わしている。最近の属直な邦題に比べると、すこし昔の映画の邦題は、映画の雰囲気を醸しだしていて素敵だ。

内容については納得できないところがあちらこちらにあるのに、なぜ放映されるたびにのめり込んで観てしまうのだろう。

遊び人に見えて尊はまじめ人間のガストンが、ジジという少女の成長の煌きに魅了されてしまう物語。むしろ私が魅力を感じるのは、ジジの祖母と、彼女のかつての恋人だった、ガストンのおじにあたるオノレとの、ドルビールの浜辺でのやりとり。ガストンとジジとが浜辺でたわむれているのを遠く眺めながら、若き日の思い出を語り合う二人の、慕情ただよう雰囲気。

ジジには教育係がいて、恋多き人生を送って、かなりの資産を蓄えている女性。ジジの祖母の姉にあたる人。彼女の生き方には共感できないものの、当時の女性の社会的地位を思うと、自立した生き方をしようと思ったら、彼女のような生き方しか選択肢がなかったのかもしれないとも思う。彼女はいわゆる“結婚しない女”。世界の王族や諸侯と浮名を流した過去をもつ“レディ”。彼女が物語りのはじめに、ジジに向かって諭すように言う。

「友だちはいるの?」
「いないわ。おばあさまがお呼ばれしても断ってしまうんですもの」
「それは“お呼ばれする”友だちの格が違うからよ。おつむが弱いし、なにより結婚してるでしょ」
「私たちは結婚しないのね」
「……結婚してもいいのよ。でもね、結婚というのは目的ではなくて、偶然の結果なの」

彼女は目的をもって男性と付き合い、結婚という当時の「束縛」には従属しなかった女性。目的をもった人生を送った女性。その彼女の、なかなか意味深い言葉だ。しかし、ジジは友人でもあったガストンと、相思相愛で揃ばれることになる。その顛末のおもしろさは、映画か舞台で堪能してもらうとして、結果的に仲を取り持つことになるのも、実は独身主義者のオノレだったと、私は確信するのだが。

かの有名な映画会社、アメリカのMGM製作。1959年公開。ヴィンセント・ミネリ(Vincente Minnelli)監督。レスリー・キャロン(Leslie Caron)主演。いい味をだしていたオノレ・はモーリス・シュヴァリエ(Maurice Chevalier)。

About 映画

ブログ「Past Log」のカテゴリ「映画」に投稿されたすべてのエントリーのアーカイブのページです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のカテゴリは日記です。

次のカテゴリはです。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.35