戦争童話集
『戦争童話集』(1980年初版発行・中公文庫)
参考に、編集されている“童話”(注文しようとした書店の20代の店員から、「児童書ですねえ」とけげんな顔をされました。「そりゃ、童話集ですから、当たり前でしょ」って答えましたが。おとなが読んで、なにが悪い!)を紹介します。
- 小さい潜水艦に恋をしたでかすぎるクジラの話
- 青いオウムと痩せた男の子の話
- 干からびた象と象使いの話
- 凧になったお母さん
- 年老いた雌狼と女の子の話
- 赤とんぼと、あぶら虫
- ソルジャーズ・ファミリー
- ぼくの防空壕
- 八月の風船
- 馬と兵士
- 捕虜と女の子
- 焼跡の、お菓子の木
どの話も、私は朗読が好きなので声に出して読みすすめるのですが、途中でどうしても読めなくなってしまう……。あまりに切ないお話ばかりで。でも、実際にあったことの数万分の一の、その象徴としてのお話なのだということを、思いながら、それで、なお、切なくなって、涙なしにはさきを読みすすめられませんでした。
なにより、戦争という、一部のおとなが政治的に引き起こす事柄のなかで、もっとも被害を受けたのは、もっとも弱い立場の子ども、女性、動物たちだったということ。その切なさが胸にしみます。
野坂氏の童話のなかには、侵略者としての日本人が、あの8月15日を境に、侵略地で、どのような行動をとったのか、ということにもふれて、そのなかでも一番、しわ寄せをくったのは、赤ん坊や幼児たちだったことを、きちんと描いています。