アルプスの少女ハイジ
CSの放映も幾度目だろう。現在、「ファミリー劇場」「キッズステーション」チャンネルで連続放映されている最中だ。今回で連続放映視聴の3度目だ。
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私が一番泣かされるのは第33話「ゆうれい騒動」だ。ハイジとクララの友情の深さに幾度泣かされたことか。医者の診察の様子がたいへん患者本位で丁寧なことに感心したし、この邸宅の主人であり事業家であるゼーゼマン氏の良識的知識人ぶりにも感心した。このゼーゼマン氏の良識の背景に母親の影響のあることも、「クララのおばあさま」として登場する彼女の描写で察することができる。
このアニメーションは、教育とは何か、人間の成長とは何かということを考えさせてくれる。そして、いかなる年代の人間であれ、人間というものは成長・発展できるということを実感できるし、富者と貧者との差がそのまま幸せの度合いに結びついてはいないということも感じさせてくれる。
導入部でのアルムの山で隠遁生活を送る、曰くありげな老人と、天涯孤独な少女との出会いの場面でも、少女のおばにあたるデーテの苦悩を描くことを忘れてはいない演出に脱帽した。
家政婦長のロッテンマイヤー女史は決して悪い人ではないし、教養もある人物なのだが、所詮召使階級の一員であって、使用人なのである。屋敷の主人の娘クララを中心に物事を考えるし、スイスの田舎からやってきた読み書きもできない少女に手を焼くのも無理からぬこと。召使階級の描写には、たいへんリアリティがある。彼女に象徴される上辺だけの教養教育は、現在の教育政策についても示唆を与えるものだ。
主人公の少女ハイジの成長過程の描写の見事さもさることながら、クララが自らの存在に自信を得る過程を描く、後半の描写も見事だ。とくに、ハイジも大好きなペーターのおばあさんとクララとの出会いの場面がそうだ。クララが盲目のおばあさんに聖書を読み聞かせると、おばあさんがクララの朗読について感謝の言葉をかける。その批評の観点がまったく的を得ている。そして、それまで我儘放題に育てられてはいるものの、自らの価値に目覚めることのなかったクララに、彼女自身の能力が、他者に良き働きかけができることに目覚めさせてくれる場面である。この一連の描写の、素朴だが的確な描写とキャラクターの表情の表現には、何度視聴しても感嘆させられる。
村の生活の細部のリアリティもさることながら、アルムの山小屋で隠遁生活を送る老人の特異なキャラクターを説得的に描いているのは、さすがだ。以前麓の村で隣人どうしだった牧師と老人との対話の洗練された会話と丁寧な人物表現は、現在放映されている実写ドラマよりも格段に奥深い。この場面だけでなく、全編にわたって、脚本と演出、絵コンテなど、アニメならではの苦労がともなったところだろうが、とくにこの件は視聴する度に感動を新たにする。
1974年TV放送。初放映は視聴した。裏番組は、その後再放映され、私も釘付けになった「宇宙戦艦ヤマト」だったそうだ。