けさ4時半に目が覚めてしまった。それというのもすさまじい風と雨音のせいだ。すっかり明るいのだけれど、表は確実に台風が近づいているんだと思わせる悪天候。頑固に干したままだった洗濯物を見たら、ほとんど落ちていたり吹き込んでいる雨にうたれてぬれていて、けっきょく全部洗濯しなおすことにした。
体調も最悪できょうは休んで明日出勤することにして、『指輪物語』の続きを読む。とても『資本論』のノートをすすめられるような集中力はなかったから。
物語はすでに第二篇「二つの塔」に入っていて、ここでも血沸き肉踊る描写がつづいていて、これまでになくトットと読みすすめた。この篇の前半では、ローハンとアイゼンガルドの戦いが描かれている。それに行方不明となっていたホビットの二人組、ピピンとメリーのエントとの不思議な出会いと胸を沸き立たせるエントたちのたたかい。
しかし、この前半のラスト、アイゼンガルドの「元」白の会議長であった「元」賢者サルマンの「声」のくだりで、ふと思い出したのだ。
きのうの昼、いつも世話になっている食堂で久しぶりに会う常連の客と話になって、先日の秋葉広島市長の平和宣言はすばらしかったとほめたたえあっていたが、少々気になる一言があったのだ。私は新聞記事でその全文を見て胸を熱くしたということを言ったら、その客が「いまあれだけの政治家はほかにはいないだろう。話っぷりがよかった」というのだ。
たしかにいい話をいい語り口で話す能力というのは政治家にもとめられるのかもしれないが、「中身もだが話っぷりのほうに魅了された」という客の反応に、少々危険だなと思ったのだ。話し方がうまい独裁者で有名なのはヒトラーだろう。さいきんだと、小泉首相や石原都知事。歯に衣着せぬ物言いが魅力だという人がいる。私はやっぱり中身だと思ったのだ。話し方は後からいくらでもついてくる。中身がはじめにありきだろう。
「サルマンの声」についての描写は、私がその時感じた危険なにおいとそっくり重なるものがあって、ちょっとドキリとしたのだ。
天候の方は、これが「嵐の後の静けさ」というものか、ピタリと雨も風も止んでしまった。いまごろは日本海側の地域の人びとが災難にあっているころだろうか。台風は西宮市に上陸以降、北寄りにコースを変えたらしい。